全従業員対象の定量のデータから、活力ある組織に向けた本質的な課題を抽出します。
事例研究・コラム

第3回 ダイバーシティの実態と『当事者意識』

                    
NEOS-Diversity

ダイバーシティ意識調査では、先行研究とインタビュー結果から、ダイバーシティとして、7種類を取り上げることとした。
弊社蓄積データから、ある会社の「ダイバーシティの実態」を見てみよう。



ダイバーシティの今後取り組むべき課題

ダイバーシティの今後取り組むべき課題として、第1位は「⑦多様な働き方に対応できる働き方改革の推進」、第2位は「④高齢者(60歳以上)の活躍推進」、第3位は「⑥介護支援の推進」が挙げられた。「女性の活躍推進」は第4位であった。
年代別に見ると、50歳以上は「④高齢者(60歳以上)の活躍推進」、40歳代以上および女性では「⑥介護支援の推進」を挙げる人が多かった()。

この会社では、全社挙げて『女性活躍』を掲げているにも関わらず、従業員側の「女性の活躍推進」の優先順位は低かった。従業員は、「女性の活躍推進」よりも「多様な働き方に対応できる働き方改革の推進」「高齢者の活躍推進」「介護支援の推進」を課題と見る人が多いことが明らかになった。その背景として、この会社では、「50歳以上が4割を占め、今後、彼らのキャリアや介護の問題が目前に迫っている」「女性従業員は1割程度で役割が固定化している」などの構造的な問題が示唆される。

以上から、従業員のダイバーシティの問題意識は、「自分に身近なこと」「今後自分が遭遇するであろう問題」が選択されやすいことが推定される。すなわち、ダイバーシティに関する問題意識を高めるためには、従業員自身に『当事者意識』を持たせることが早道であると考えられる。

 ダイバーシティは、中長期的な事業環境・労働環境の変化を予測して、各社が経営戦略と結び付けて、生産性向上のために自発的に行うものである。
従業員自身のダイバーシティの『当事者意識』を高めるためには、経営陣が「何のために」ダイバーシティに取り組むのか、企業理念や経営方針と連動し、明示することが不可欠である。
具体的には、以下の4点である。
◆「企業理念」や「行動指針」を通じて、目指すべき理想像と考え方を共有する
◆経営陣が、『ダイバーシティ』の目的や意義を発信する
◆経営陣が、『ダイバーシティ』の実現に関して、従業員とコミュニケーションをとる
◆会社のダイバーシティ推進の担当部署が、各関連部署と密接に連携する


次回は、「ダイバーシティの制度が使えない本当の理由」を紹介する予定です。

【第3回のまとめ】
●従業員のダイバーシティの問題意識は、「自分に身近なこと」「今後自分が遭遇するであろう問題」が選択されやすい。
●従業員自身のダイバーシティの『当事者意識』を高めるためには、経営陣が「何のために」ダイバーシティに取り組むのか、企業理念や経営方針と連動し、明示することが不可欠である。


(株)日本経営協会総合研究所 主任研究員 山根 郁子

奈良女子大学文学部卒業後、大手サービス業にて支社勤務を経て、経営企画、内部監査を担当。同社退社後、(株)日本経営協会総合研究所に入社。主に従業員意識調査、コンプライアンス意識調査を担当。内部監査の経験を生かし、仕組みや制度にとどまらない、健全な組織風土と個人の自律を支援している。筑波大学大学院人間総合科学研究科修了。修士(カウンセリング)。
公認内部監査人(CIA)。公認不正検査士(CFE)。経営倫理士(第15期)。産業カウンセラー。

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