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事例研究・コラム

第1回 「何のためにダイバーシティに取り組むのか」

                    
NEOS-Diversity

 昨今、ダイバーシティに関する法令が次から次へと施行され、「一億総活躍」「働き方改革」など、ダイバーシティに関する施策やテーマが世間の注目の的となっている。具体的には、

ダイバーシティに関する法令や施策
 ・2016年4月施行「女性活躍推進法」
 ・2016年4月施行「障害者差別解消法」
 ・2017年1月施行「妊娠・出産等に関するハラスメント防止措置」

ダイバーシティに関するキーワード
 ・働き方改革
 ・ワーク・ライフ・バランス
 ・長時間労働削減
 ・介護離職
 ・メンタルヘルス
 ・少子高齢化とシニア世代の活用
 ・LGBT

などが挙げられる。以上のように、ダイバーシティは、私たち自身が当事者であり、非常に身近なテーマである。

 では、『ダイバーシティ経営』とは、どのような定義であろうか。経済産業省によれば、

「多様な人材(注1)を活かし、その能力(注2)が最大限発揮できる機会を提供することで、イノベーションを生み出し、価値創造につなげている経営(注3)」

(注1)「多様な人材」とは、性別、年齢、人種や国籍、障がいの有無、性的指向、宗教・信条、価値観などの多様性だけでなく、キャリアや経験、働き方などの多様性も含む。
(注2)「能力」には、多様な人材それぞれの持つ潜在的な能力や特性なども含む。
(注3)「イノベーションを生み出し、価値創造につなげている経営」とは、組織内の個々の人材がその特性を活かし、いきいきと働くことの出来る環境を整えることによって、「自由な発想」が生まれ、生産多様な人材を活かし、その能力が最大限発揮できる機会を提供することで、イノベーションを生み出し、価値創造につなげている経営のことを示す。
と定義している。


 ポイントは、以下の2点である。
(1)多様な人材とは、属性の多様性だけでなく、内面的な多様性も含む
(2)ダイバーシティ経営は、価値創造(=生産性向上)につなげるものである

 しかし、企業におけるダイバーシティの実際は、政府や社会の要請で受け身的な対応に終始している。経営層にダイバーシティに対する納得感がないまま、現場に形式的に落とし込み、「数字合わせ」が優先されているため、会社も本人も不幸な状態に陥っている。経済産業省は、この現状を「ダイバーシティ1.0(形式重視型)の限界」とし、以下のモデル図を示している。

 今後の日本社会は、「労働人口減少と生涯現役」の時代を迎え、サービスの高度化によるコスト増加や、AI化による人間がすべき仕事の限定化・高度化などの課題が考えられる。そのような時代の到来を見据え、多様な人材の「持てる能力」を最大限引き出し、メンバー一人ひとりの生産性を高める組織づくりが求められる。

 経済産業省は、「ダイバーシティ2.0」として、経営陣が「何のために」ダイバーシティに取り組むのか、企業理念や経営方針と連動してダイバーシティを捉えていくことを説いている。そして、管理部門は、上司は、私たちは、何をすべきか、当コラムにて、現実的なダイバーシティ推進のポイントを紹介する。

次回は、「ダイバーシティは何種類かありそうだ」を紹介する予定です。

【第1回のまとめ】
●政府や社会の要請で実践するダイバーシティ経営は、形式的な落とし込みによる数字合わせや現場の疲弊を招き限界にきている。
●ダイバーシティは、中長期的な事業環境・労働環境の変化を予測して、各社が経営戦略と結び付けて、生産性向上のために自発的に行うものである。


(株)日本経営協会総合研究所 主任研究員 山根 郁子

奈良女子大学文学部卒業後、大手サービス業にて支社勤務を経て、経営企画、内部監査を担当。同社退社後、(株)日本経営協会総合研究所に入社。主に従業員意識調査、コンプライアンス意識調査を担当。内部監査の経験を生かし、仕組みや制度にとどまらない、健全な組織風土と個人の自律を支援している。筑波大学大学院人間総合科学研究科修了。修士(カウンセリング)。
公認内部監査人(CIA)。公認不正検査士(CFE)。経営倫理士(第15期)。産業カウンセラー。

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